平地でのサーマルソアリングについて



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はじめに

 リフトの種類には、サーマル・リッジ・ウェーブ・コンバージェンスなどがあります。

 それぞれ飛び方が全く違いますが、今回は普段の活動で出くわすサーマルについて、時間の流れにそってまとめます。

  ●飛ぶ前に条件の予測 前日、当日の朝

  ●飛ぶ直前 どこにいこか??

  ●上空でサーマルにHIT!!

  ●困った!ヤバい!!Σ( ̄Д ̄;)



<飛ぶ前に条件の予測( ..)φ 前日、当日の朝>

どのようなコンディションがソアリング日和なのか? 今日のコンディションは?

  ウェザーの予測は「 Global → Local 」が原則。

●現在の気圧配置から、今どの辺にいるのか考える。


          (出典:『Turn Point』 雲を読む 98 / 04)

  → 気圧配置と雲の関係.jpg


●地形的特徴:山や海からの距離、季節ごとの天気の特徴 → 地元のベテランに聞く。

●気温減率 :大気の状態や逆転層の有無、トップの高さを予測する。

  雲底高度(LCL)≒400×(気温−露点) (feet)

  雲底高度(LCL)≒125×(気温−露点) (m)

   ※露点は湿度から求められる → 露点−湿度換算表、湿度−雲底早見表


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<飛ぶ直前 どこにいこか?? (・∇・ )( ・∇・) >

いつ?どこに?どんな?サーマルが発生するのか?

●いつ?

  → 1日のソアリングコンディションの時間的変化(周期、強さ、雲底、沈下の変化)

午前中上昇するのがやっと.寿命が短い.リフトのすぐ回りに沈下.
昼近く地面が十分に暖められ,次々とサーマルが発生.
大きい雲は長続きするが,その後に沈下帯を残す.
サーマル間のほとんどが沈下帯となる.
昼過ぎ〜午後遅くサーマルの一番良い部分の近くに強い沈下アリ.
夕方「ホットスポット」の間は静穏.沈下もほとんどなくなる.

サーマルの間隔

  平地でのサーマル間の距離は、一般に高さの2.5倍。

今日のポイントは何か?

  海陸風の吹き始め、前線の接近、逆転層の突破、雲ができるかブルーか など。


●どこに?

 ※詳しくは、『風を聴け』、『クロスカントリー・ソアリング』などを参照。

 → 下を見る(〜600m)

    日射   : 暖かそうなところ(ビニールハウス、駐車場、畑、グランド、焼き畑など)

    トリガー : 風の収束帯や地表のコントラスト (農地と住宅地の境界、畑と池の境界、川の蛇行、平地と丘、鉄塔など)

 → 横を見る(まわり)

    他に飛んでる機体、トリ

    視程の変化(ヘイズキャップ)、風の変化、ニオイの変化

 → 上を見る(600m〜)

    おいしい雲の下(下が平らで黒く、風上側で、陽が当たっている方)


●どんな?

 目に見えないから、とにかくイメージする。本を読んで、よくあるパターンを知る。

 → サーマルの形(バブルとコラム)

    高度別のサイズ(下は小さく、上は大きい)

    風の影響、雲とトリガーとの結び付け

    サーマルが列になるとは?ストリート・ラインを使うとは?→ 「エネルギーの道を使え」

    高度別の風の影響(Flight ComputerやGPSの軌跡から上空の風は分かる)、シアーの有無


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<上空でサーマルにHIT!! キタ━(゚∀゚)━! >

どうやってソアリングするか?

●サーマルの形をイメージする。サイズ・強さ・風。

 → 小さく弱い、おっとりやさしい、コアはっきり安定、プラスも沈下も強く大荒れ。

●旋回半径を選ぶ(速度とバンク)

 → 最沈の直線で上がるのが最も効率がいい!

   コアに留まるために必要な速度とバンクは?技量に応じて適宜調整。

   速度ムラが小さく、安定した旋回が望ましい(←あおられたのか、操縦のせいか分からない)

   基本的に、低空ではバンク大、高くなったらバンクを緩めることが多い。

   (低空の方がコアが小さく、高度と共にサーマルも大きくなるから)

●このサーマルを使うか捨てるか

 → 流される距離と獲得高度の関係

   (風と機体の上昇率から、理論上プラスいくつのサーマルなら有効か)

●次、どこ行こうか?

 → 他の機体…というより誰の方が重要!上がっているのか苦しんでいるのか定期的に観察が必要

     トリ  …コアがはっきり分かる!でも、同じ半径で回るのはムリ。

     雲   …でき始めか、死に雲か。そこに到達するまでに発達しすぎないか。

    ライン  …雲が並んでいたら、そのラインに沿って風と平行に。

          ブルーは幅の見極めが大切。プラス帯と沈下帯を把握し、隣のプラス帯に移れるか。

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<困った!ヤバい!!Σ( ̄Д ̄;)どうしよう…>

●谷間の時間にハマったら

 → サーマルの周期から、次のチャンスまで耐える。

   エネルギーが残ってそうなところで、失高を最小限にとどめ、Keep High.

●沈下帯にハマったら

 → 風を考えて、風とできるだけ角度をつけて飛ぶ。もちろん速度も事前に研究しとく。

●ヤバい低い

 → あせったら、もっとヤバくなります。冷静な判断で無事に降りて下さい。

   ※そうなる前に

    今日の条件で、絶対に切らない高度(O/L高度)を頭に叩き込んで、その高度を守る。

    すり鉢には安全率かけてあるから大丈夫という、甘さを捨てる。

    パス角で帰投高度を見極めるクセをつける。

    度胸を付ける。誰だってR/Wから離れるのは怖い。

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<参考文献>

(1) 『 SAILPLANE & GLIDING 』,Tom Bradbury 著,『滑空気象シリーズ』,大石直昭 訳

(2) 『 Meteorology and flight 』,Tom Bradburry 著,『気象と飛行』,大石直昭 訳
    出版:SATA、AERO VISION

(3) 『 Turn Point 1998/04 』---「雲を読む(日口裕二)」,出版:AIRWORKS

(4) 『パラグライダー&ハンググライダーパイロットのためのThermal Flying 』,ブルクハルト・マルテンス著,北野正浩 訳
    出版:イカロス出版

(5) 『クロスカントリーソアリング』,ヘルムート・ライヒマン著,翻訳/古谷眞之助・市川明夫,監修/市川展
    出版:AIRWORKS

(6) 『風を聴け』,丸伊満 著,出版:AERO VISION,SATA



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