雲ができるかブルーか
<ブルーサーマルの日>
ブルーの日に飛ぶ場合、最も重要なポイントは(風の強さに次いで)逆転層までの高度である。
夏の「ブルー」の日には、海風の始まりと共に、沿岸地域からの霧や低層雲などが移流してくることがある。
移流が続く間は、日射が引き続いてそれを解消していくものの、
その気団においてサーマルの活動が再開するためには、
その気団が熱を持った地表の上に3〜4時間もとどまっていなければならない。
それでもなおかつリフトは弱く、到達高度も低めにとどまる傾向がある。
気団の境目は、視程が変化することで分かる事が多い。
<ヘイズのトップと雲のトップ>
サーマルが強いと、安定層に達しても、その慣性によってある程度の高度までは、
止まらずに上がり続けるものである。
とくにブルーの日であれば、サーマルのトップの部分で上昇率が悪くなっても、
そのまま粘り続けると、良い結果となる場合がある。
短い時間ではあるが、逆転層の上に出られることがあるからである。
逆転層を抜けると、とたんに視界が広がり、それまで分からなかった遠方の「活発なエリア」から
積雲の頭がポツポツと飛び出しているのが、見えてきたりもする。
<雲ができるか、はたまたブルーか>
真夏の、雲ができていない日には強い日射によって強力なサーマルができ、
それにより昼近くから午後半ばにかけて逆転層の高度が1000ftから場合によって2000ftくらいも持ち上げられ、
誰も予想していない場所に雲ができ始めることがある。
しかし、高気圧の中心に近いところではほんの例外を除いて、
そうなる場合は(逆転層が雲のできる高度まで持ち上げられるという事)ごく稀である。
<ヘイズの層が濃くなるか、あるいは積雲の小片(パフ)ができるか>
地上から立ち上がるサーマルには、湿度が余計に含まれており、
この水分とヘイズの粒が合わさった形のいまひとつはっきりとしない(雲とは違う)もやのかたまりのようなものが、
逆転層の少しだけ上の部分に集まるのが見られる。
これは、ポラロイドのサングラスをかけるとはっきりと見えるというヤツで、
名人たちの中にはこのヘイズキャップを目印として、ブルーサーマルの列に沿って、ドルフィンをしながら、
飛んでいく者もいるという。
サーマルの中でも特に強いものは、
逆転層の気温の高くなりつつある中をなおも数百フィートほど余力で上がって行けるものがあり、
そういう場合に小さな雲がポッポと出来上がることでその目印となることがある。
ところが、午前中にそういった雲へ急行してもリフトはすでに消えている場合が多いが、
午後になるとそういった雲も多少なりとも頼りにすることができるようになり、
雲が消えてもなおしばらくの間リフトが残っていることがある。
その理由は、午前中のサーマルは上昇するやっとの分だけの地面から暖められているだけで、
引き続いて上がってくる分がほとんどないからであり、
午後になると地面も充分に暖められて「続きの分」も豊富になり、
先頭のサーマルに引き続いて残りも波動的に昇って行くためであると考えられる。
これがおそらく初めの雲が消えるように見えてもその後にサーマルが残っているという現象の説明になるだろう。
ほんの残りカスのような小さな積雲も、夕方近くになると長く残るようになり、
そこを目指して飛んで行ってリフトを捕まえられる確率も高くなる。
<逆転層の高さの変化と露点温度の関係>
逆転層の高さが、広い範囲にわたって一定であるというのは、滅多に起こる事ではない。
実際、露点温度のほんの1〜2度の変化が積雲の発生の有無を左右し、
逆転層の1000ftくらいの上下がソアリングの非常に楽にできる日と、
はいずり回って終わる退屈な日の分かれ目になる事が起こるのである。