WX Briefing 実施上の基本的な考え方

・Briefingは相手を説得させる性質のものではない。

・情報の提供と相互の見方・意見交換の場であり、そこで両者の協議が行われる。

・気象状況を的確に判断し、簡潔・明瞭にまとめる。

・タイムリーな情報の提供が重要である。

・時間の管理を考えて行う。長過ぎても、短過ぎてもよくない。

・自分なりの結論(判断)を念頭におきながら、自信を持って行う。

・要領よく手短にポイントを絞って、声を大きくハッキリと説明すること。

(1)ウェザブリの準備

 A. 各種天気図・気象資料の用意と整理

●地上天気図

    @低気圧の位置と発達衰弱の度合い、その中心指度は

    A高気圧の位置とその勢力範囲はどこまでか

    B前線の位置とその影響範囲はどこまでか

    C各地の天気概況と局地的な現象の有無(雷雨・視程障害現象・強風…)

●高層天気図

    @850hPa面天気図

      1)等温線の間隔は

      2)湿域(T−Td<3℃)の分布状態は

      3)高気圧・低気圧の位置は、地上天気図上のそれとどうか

      4)風向きと風速は

    A700hPa面天気図

      1)湿域(T−Td<3℃)の分布状態は

      2)高気圧・低気圧の位置は、地上天気図上のそれと比べてどうか

      3)等高線の走行はどうか

      4)風向きと風速は

    B500hPa面天気図から

      1)トラフ・リッジと地上天気図上の高気圧・低気圧との対応する位置関係は

      2)高気圧・低気圧のいちは、地上天気図上のそれとどうか

      3)等温線と等高線の走行は、また互いに交差しているか

      4)風向きと風速は

      5)等温線の間隔は混み合っているか

    C300hPa面天気図から

      1)ジェット気流の平面的な位置とその移動方向

●気象衛星画像

    @広範囲な雲の出現分布域

    A晴天域と曇天域又は悪天域との区別

    Bカラー写真の温度分布による雲頂高度の推定

    C雲の分布域から、地上の低気圧・前線の位置の確認

●エマグラム

    @大気の安定度は

    A気温の逆転層、また逆転の種類は

    B雲底高度は

    Cウィンドシア―の有無、その高度と程度は

●雨雲レーダー合成図

    @降水域の分布範囲

    A地上低気圧・前線の位置の確認

    Bエコー頂から対応する雲のおおよその高さ

    Cエコーの強弱により、対応する雲の種類(強いエコーはCb)

    Dエコの―強弱から、降水現象の程度は

●TAF/METAR

●ピンポイント天気予報


 B. 天気図等の色塗り

<目的>見やすく、分かりやすくすることによる見間違い等の防止、と一目瞭然。

 @地上天気図

高気圧
低気圧
台風
熱帯低気圧
TD
寒冷前線
温暖前線
停滞前線
閉塞前線
雷電(雷雨)
赤色
霧の発生区域
黄色
砂じん嵐
褐色
降水現象
緑色
陸地
緑色

 A高層天気図

     850hPa 700hPa 500hPa  300hPa 
等温線 赤色
-6℃ラインは太線
(冬季)
赤色
-12℃ラインは太線
(冬季)
赤色
-30℃ラインは太線
(冬季)
×
湿域
T-Td < 3℃
緑色 緑色 × ×
トラフ
リッジ
× 太い実線
波形の実線
太い実線
波形の実線
太い実線
波形の実線
H 高気圧
L 低気圧
青色
赤色
青色
赤色
青色
赤色
青色
赤色
C 寒気
W 暖気
青色
赤色
青色
赤色
青色
赤色
青色
赤色


 C. 天気図等の気象資料の提示

ブリーフィングしやすいように、数日前の天気図等を重ねて掲示しておく。

地上天気図の場合は、過去6時間前 又は 12時間前の天気図も並列に掲示する。

天気図等の隅に、やや大きな字で、日時を日本時間で書き示しておく。


(2)解析の実施

【ポイント】


  a. 現況はどうなのか?

  b. 以前はどうであったか? …… 天気図の比較検討

  c. 今後の予想はどうなるのか?
     ・今後、3時間後、6時間後はどうなるのか?
     ・VMCが今後とも続くのか?
     ・VMC → ×  はいつ頃か?
     ・ ×  → VMCはいつ頃か?


【予報の手順】


  a. 過去の天気図と現在の天気図から、移動速度を、
    高層天気図の等高線の走行からは、移動方向をそれぞれ割り出し、今後の推定位置を決定する。

  b. 500hPa天気図上のトラフの動きを追跡し、今後の予想位置を決定する。

  c. 渦度図及び鉛直流図の24時間予想図を利用する。

  d. 気象衛星「ひまわり」画像を「動画」として、雲等の変化傾向を把握する。

  e. 高層天気図(500hpa, 300hPa)から、ジェット気流の位置と強さを確認数する。

  f. 悪天予想天気図の利用。

  g. 気象通報から、TAF等をチェックしてみる。


 ※移動する前線の位置の特定法

  @ 風向・風速の変化に着目

  A 顕著な気温差があるか

  B 降水域の広がりは

  C 気圧の値は

  D 寒冷前線の通過後の天気変化は
     1)雲形……通過前までの層雲(Ns,St)から積雲(Cu)に変わる。
     2)雨 ……地雨性からしゅう雨性に変わる。


 ※今後の前線の予想位置の推定法

  外挿法


 ※天気は西から東に動く。

日本周辺の地名を知ろう!

@ 高気圧・低気圧又は前線等の位置を説明する時に用いる。

A ボッ海と黄海及び東シナ海の区別は、ハッキリさせる。

B 中国大陸は、北から、華北−華中−華南と大別される。

C 日本列島は、北日本−東日本−西日本と3分割される。




ブリーフィング用語等の使い分け

 ≪用語の適用範囲≫
今日 夜明けから日没までの間(大体、午前6時から午後6時まで)
今夜 日没から翌日の夜明けまで
明日 翌朝の日出から24時間
朝のうち 夜明けからおよそ午前9時頃まで
昼過ぎ 正午のあと2時間くらいまで
夕方 日没の前後それぞれ1時間くらい
宵のうち 日没のあと2〜3時間
夜半ごろ 0時の前後それぞれ1時間くらい
ときどき 日出から日没までの予報範囲の1/2未満の時間で、現象が断続的に数回起こる。
一時 現象が連続して起こり、予報範囲の1/4未満の時間。
日出
日没
太陽上辺が地平線(水平線)を出たとき、没したとき。
晴れ SNOP通報式では、雲量2/8〜6/8まで。10分雲量では、雲量8/10まで。


ブリーフィングの実施

 ただ今から、機長の出発前の確認事項に基づき、WX Briefingを始めます。

 本日使用します天気図は、
  地上天気図につきましては、昨日の△△時と、本日◇◇時の、また、
  高層天気図は、○日の□□時のものをそれぞれ使用します。

 まず始めに、全般的な天気概況ですが、
  地上天気図を見ますと、気圧配置や前線の推移ですが、
  昨日と本日とを見比べますと、
  高気圧、低気圧及び前線の移動は…………となっており、

 現在の気圧配置の概略を説明し、実際の各地の天気変化はこうなっている。
 この時に、今後の天気変化として、良くなりつつあるのか、悪くなりつつあるのか、
 又は、あまり変わらないのかに重点をおいた説明をする。

 次に、天気推移の理由付けとして、高層天気図の説明に入る。
 高気圧・低気圧の位置、移動速度と方向、背の高さ、寒気・暖気の移流状態、発達、衰弱、
 トラフ、リッジ、ジェット気流、高層風 等々の各項目を関連させて説明する。

 その説明の補足資料として、
 断熱図、合成レーダーエコー図、ひまわり雲解析図、その他を必要に応じて、適宜利用する。

 一通りの説明が済んだら、
 ローカル、又は、ルート訓練の地域に焦点を絞って、天気の予報について説明を進めていく。
 この時、METAR/TAF 等を使用し、現在の訓練の終了予定時刻までの間の天気の予報を説明する。

 以上から、本日のフライトは実施可能と判断されます。

 以上でWX Briefingは終わります。



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